BIG-5とHSPの診断項目の共通点から考察する、自分の「トリセツ(説明書)」の作り方
前書き
現世の館へようこそ!
今回は、過去記事で中途半端に終わってしまった、HSPさん考察の続きです。
前回は、16タイプ診断を元に
内向性とHSPは別軸で考えなければならないようです
と結論づけて終わりました。
今回は、それとは別の視点から考えていこうかと思います。
目次
おさらい
HSPの診断基準について
HSPであると言われるには
- D:処理の深さ(Depth of processing)
- O:神経の高ぶりやすさ(Overarousal)
- E:強い感情反応(Emotional intensity)
- S:感度の鋭さ(Sensory sensitivity)
この四項目全てに該当する必要があるとされており、ひとつでも当てはまらないと、医学的には非HSPとなります。
あくまで「医学的には」なので、経験論で言えばTwitterでもよく見かけるように、1/4でも当てはまっていればHSPの傾向自体はあるだろうと言うのが本館の主張です。
D:処理の深さ(Depth of processing)
ほんとイジワルな日本語訳ですよねーこれ。
処理の深さってなんだよ(笑)
この処理の深さという基準は、一言で言うと、
- 感覚へのこだわりの深さ
を指していると考えてください。
誰かが近くで喋っていたり、虫や気に障るものが近くにいると気になって、今行っている作業が進まないといった経験がある方ならお分かりだと思いますが、ずーとそっちに気を取られて、意識のスイッチが切り替わらない感じがあると思います。
深い処理、すなわち、
- アレなんなんだろう?
- この人たち何話してるんだろう?
- あの虫なんかこっちに飛んできそう
といった、飛び込んできた情報に思わず思いを馳せずにはいられなくなる度合いを、便宜上、処理の深さと規定していると考えると良いでしょう。
なので、もし日本語で言い換えるのだとしたら、
- 一点集中のしやすさ
と表現した方がいい感じはします。
O:神経の高ぶりやすさ(Overarousal)
神経が高ぶる時の身体反応は様々ですが、
- 肌がチクチクする感じ
- 耳鳴りがする感じ
- 気圧でどんよりする感じ
- ちょっとの気温低下でもヒヤッとする感じ
といった、同じ刺激でも神経系に響き、刺激が強すぎるなあと感じるかどうかがこの指標となります。
後述の感度の鋭さとは、痛覚や苦痛感情へ波及するかどうかで区別するといいかもしれません。
E:強い感情反応(Emotional intensity)
これは少しの言葉や人の態度の微弱な変化に、自分もどのくらいリアクションしやすいかを表します。
- ドキドキする
- イライラする
- ムカッとする
- スカッとする
など、少しの情報に何かしら感情に変化が伴うかがこの感情反応のバロメーターに該当します。
ちなみにこの感情変化は、
- 文字には感情変化を伴い反応しやすいが、音には鈍感
- 匂いに感情が左右されるけど、人の表情変化には鈍感
といった、人によって感情変化が発現しやすい感覚器官が異なるという特性があったりします。
なので、
- 文字メインのこのブログには、なんの感情も抱かないが、私はHSPである。
- 絵文字がないと人の書いた文字に感情がないように感じる。
などの人がいたとしても、それは確率でありうる話なのです。
S:感度の鋭さ(Sensory sensitivity)
アンテナやセンサーと同じように、人の感覚にも感度があり、感度を超えた刺激を受けると人は、よく晴れた日差しの強い日に外に出た時のように
- すごく目がチカチカする
といったことが起こるかと思います。
これが例えば曇り空だとしても、日中、空を仰ぐと同じように目がチカチカするなら、それは感度が人より鋭いということです。
この例は、眼球内の光受容体の感度に人により閾値の個人差があることが学術的にわかっているので引き合いに出しました。
ちなみに高校生の生物の授業レベルの話ですので、これを機に覚えておくと役に立つ機会もあるでしょう。
なお視覚野に限らず私たちの体には、聴覚や嗅覚、味覚、触覚のような感覚に個人差が多くあることから、それらの感覚器官の閾値がどのくらい低いかがこの指標になります。
なので、感覚が鋭いように感じるものであれば、それが色覚でも光強度でも、音階判別でも味覚でも何でも該当するため、当てはまると思うものはどんどん列挙して構わないかと思います。
BIG-5の診断基準
で、話は変わり、ビッグファイブに移ります。
まず、このビッグファイブというものは、人の性格や気質を表す言葉を同じ括り同士にまとめると、5つのグループにまでまとめられることから生まれた、現在の心理学の中で唯一信ぴょう性の高いとされる理論です。
- 「外向性」
- 「情緒安定性」
- 「開放性」
- 「勤勉性」
- 「協調性」
この五つの要素で構成されるビッグファイブは、16タイプ診断とは親戚にあたり、外向性の面で相関があります。
各要素の説明は、下記診断サイトの文言を引用させて頂きました。
適宜参考にしてください。
外向性
人とのコミュニケーションに対する積極性を表します。
情緒安定性
他者とのやり取りの中での傷つきやすさ、気持ちの安定性や物事への態度などを表します。
開放性
どれくらい、新しいことに対してオープンかを示したり、想像力の程度などを表します。
誠実性
周囲の人や、物事に対する責任感や計画性がどの程度か、などを表します。
協調性
周囲に同調したり従ったりすることができるかなどを表します。
BIG-5診断におけるカオス性
(注)カオス性=初期値の変化によるブレ幅
ビッグファイブは、先程も記述した通り、
- 人の性格を表す言葉
を5つに分類したものです。
なので、例えば外向性ひとつとっても、外向性と関連する単語は数多く該当します。
しかし、外向性が高ければその人の性格が一連の単語に全て当てはまるかといえば、一概には言えません。
- 喋る
- 会う
- 握手する
- 遊ぶ
など、外向性と紐着くいくつかの単語のうち、
- 会うけど喋らない(会う×1+喋る×0)
- 一緒に遊ぶけど直接は会わない(遊ぶ×1+会う×0)
など、場合分けが生じるのに、使う単語の個数は全く同じという結果が生じる場合があるのです。
この場合、ビッグファイブ診断の上では同じ外向性強度となるのですが、お分かりの通り、強度は同じでも全く意味が違いますよね。
つまり、その人を表す「語彙」が5要素の中でどのように分布しているかも大事ですが、「語彙」の具体的内容も考察しないとその人を分析したことにならないのです。
HSP診断にも似たブレ幅があるのでは?
- D:処理の深さ(Depth of processing)
- O:神経の高ぶりやすさ(Overarousal)
- E:強い感情反応(Emotional intensity)
- S:感度の鋭さ(Sensory sensitivity)
HSPであると言われるためのこの4項目は、先程のビッグファイブと同様に、各項目がかなり抽象化されているため、一見するとどんな状態を指すのかがわかりにくい場合があります。
そのため、見る人によって、この言葉の解釈が異なることがあります。
本記事で解説したDOESの解釈も例外ではありません。
ただ、ここまでで少なくともこれだけは確かだろうと言えることがひとつあります。
- DOSEの各項目の具体的な事例を、あなた自身の経験と照らし合わせ言葉や単語で表した時、その言葉や単語の意味に関連する感覚について、あなたのHSP傾向は高い可能性がある。
ということです。
例えば、強い感情反応と聞いた時(もしくは見た時)、館長の場合は、
人の笑い声や人の怒鳴り声に自分がどう反応したかなどの音声記憶が真っ先に当てはまりました。
他にも、人のツラい経験を音声で聞くとだんだんつらくなることがよくあります。
ひとつ前の記事で「毒親サバイバーれな」さんの活動を取り上げましたが、れなさんのYouTube動画
を視聴していた時だと、私の場合は、8位の見出しの読み上げの段階で既にツラさがピークに来てしまい、7位の説明の中盤辺りでは、視聴を1回ギブアップしてしまいました。
多分、人によっては1発で最後まで聞ける人もいるかと思いますが、少なくとも私は3回くらいに分けて聞かないとダメでした。
一つ一つのエピソードに含まれる感情が音声を聞くとしだいに増幅されていくような感覚が出てしまうようです。
話は変わりますが、嗅覚記憶もまた強く感情に作用することがあります。
良い匂いで特定の人を思い出し一喜一憂しますし、悪い匂いで実家を思い出しすごくガッカリすることもあります(ゴミ屋敷)。
また、ツラいとか怖い時の、強いストレスによる胃の痛みや、ものがいきなり当たった時の苦痛感情といった触覚記憶は割と鮮明ですし、個人的には思い出しやすいです。
自分が怪我したシーンを思い出すだけでも、苦悶のしわくちゃの顔になります(笑)。
逆に、味については、正直、食えれば何でもいいと思っているタイプ(しかも高級ステーキとエバラ焼肉のタレをかけた普通の焼肉丼はどちらも同じような美味しさと感じるレベル)なので、味覚は感情反応に強く結びついている感覚はしません。
また、飯テロTwitterを見ても味を思い出すこともなければ、レモンを見てもそこまで酸っぱい記憶が蘇りません。
つまり、館長が(少なくとも感情反応の面における)HSPだとしたら、
- 聴覚情報と嗅覚情報と触覚情報に反応しやすいタイプ
ということになります。
で、これはあくまで館長の場合であり、人によっては、
- ものすごくキツい匂いを嗅いだ時の嗅覚記憶
- あの時食べたあの味が今でも忘れられないという味覚記憶
などと連想することもあるかと思います。
強い感情反応というワードだけで、このくらい人の感じ方に個人差があるわけですから、
- HSPは誰にでも当てはまること
という俗説が出回るのではないでしょうか?
ここまでをふまえ、どう自分の説明書を作るか
HSPの要素であるDOSEが抽象化された表現である以上、その中に含まれる五感の各感覚について、どの程度当てはまるのかを、自分なりに把握する必要性が出てくるかと思います。
以下は、その把握の仕方について、ウツシヨ式でまとめてみました。
①DOSE各要素から連想する実体験を書き出す
わかりやすいように館長の例で説明します。
- D:処理の深さ(Depth of processing)
この例であれば、私の場合は人の話を聞いている真っ最中が1番当てはまります。
「この人、今、しゃべりながら一瞬目を逸らしたなー。そこだけ何を言うか考えてなかったのかなー。それとも嘘ついてんのかなー。あー姿勢変わったなー(以下略)」
みたいな感じですかね?ほぼ無表情で観察しながらこれを延々繰り返しています。
他にも、Twitteのタイムラインを見ている時も、
「あー、またこの人たち喧嘩してるなー。誤字脱字多いなー。急いで書いてんのかなー。リツイートにリツイートしてるのかー。結局何言いたいか自分でもわかってないんだろうなー。結局誰に見て欲しくて書いてんのかなーDMで喧嘩すればいいんじゃないかなー。」
ということを思いながら、無表情でタイムラインをスクロールしています。(そんなのばっかりフォローしてるから悪いw)
このような実体験の当てはめを
- D:処理の深さ(Depth of processing)
- O:神経の高ぶりやすさ(Overarousal)
- E:強い感情反応(Emotional intensity)
- S:感度の鋭さ(Sensory sensitivity)
の4つ全てに対して行います。
②実体験の中に含まれる感覚(五感等)を強度順に書き出す
①では
- D:処理の深さ(Depth of processing)
これについての実体験を書き出しましたが、そこに含まれる五感の強度を順位化すると、
D:処理の深さ(Depth of processing)
- 視覚(色覚)
- 視覚(形状・表情)
- 視覚(文字・光強度)
- 触覚(痛覚)
- 触覚(温度感覚)
- 聴覚(発音)
- 聴覚(音階)
- 嗅覚
- 味覚
O:神経の高ぶりやすさ(Overarousal)
- 聴覚(発音・言葉遣い)
- 触覚(温度感覚)
- 触覚(辛味)
- 嗅覚(刺激臭)
- 視覚(光強度)
- 視覚(形状・表情)
- 視覚(色覚)
- 味覚(しょっぱさ)
E:強い感情反応(Emotional intensity)
- 聴覚(発音・言葉遣い)
- 聴覚(音階・音色)
- 触覚(痛覚・辛味)
- 触覚(温度感覚)
- 嗅覚(刺激臭)
- 嗅覚(異臭感)
- 嗅覚(芳香感)
- 視覚(色覚)
- 視覚(形状・表情)
- 視覚(光強度)
- 味覚
S:感度の鋭さ(Sensory sensitivity)
五感全て感覚的には鋭く感じるという前提ですが、その中での強弱関係があり、
- 視覚:色覚 < 光強度
- 聴覚:言葉遣い < 発音 < 音階
というような感じになります。
館長は見事に味覚が最下位で馬鹿舌が確定しているのですが(笑)、着目すべきは次。
③DOES各項目の関連性を元に五感の働き方を考察する
DOESの各項目の関連性について分析すると、館長の場合は
- 視覚情報は集中して論理的に考えやすいが、感情は、好きな物や苦手なもの、痛々しいものなどの強い視覚情報に出くわさないとなかなか働かない。
- 聴覚情報、特に人の発言には感情が先に反応しやすく、考察は少し遅れて行われる。
- 触覚情報は、痛覚と辛味がやや優勢で感情メイン反応を示し、次点で温度変化に感情が反応する。そして、ほぼ同時にその感覚に集中し出す。
- 嗅覚情報は、刺激系から芳香系まで強弱はあるがどれも感情が先に反応しやすい。しかし大して考察せずに終わりやすい。
- 味覚情報は、個人的には正直どうでもいい。(不味いものは不味く感じるので、なんでもいい訳では無いが、こだわるつもりもないということ)
という結果になりました。
皆様はいかがでしたか?
このように五感をどのように処理しているかをDOESの項目ごとに分解して考えると、ここからさらに深く分析していけば、詳細な自分の説明書が出来上がります。
まとめ
自分の脳が五感で受け取る情報をどのように処理するのか、過去の経験を言葉に表すことによって、ある程度考察することができます。
私の場合は、耳で聞くと感情が動くことがわかりましたが、人によっては目で見ると感情が動く場合もあるでしょう。
人によって感情が強く揺さぶられるパターンは様々ですが
- なんでこうも感情が揺れ動くのか
という点をおさえておくことは、必ずしもHSPさんに限らず、多くの人にとって重要であるようにも見受けられます。
イライラや不安定感の元から遠ざかることや情報デトックスも大変重要ですが、自分が感情的になりやすい感覚がなんなのか把握しておくことで、未然に悪影響をカットしたり、逆に良い情報の影響を受けやすくすることが可能となる場合もあるでしょう。
HSPさんは特に感情面への影響が大きい特性を持っているように見えるので、影響が大きい感覚の把握は事前に行っておいて損はないかと思います。
終わりに
というわけで今回はこんな感じですが、いかがでしたか?
今回は感覚的な話が多く、なかなか文字面では表しきれない所もありましたが、どうしても実学的に表現したいと考え、記事の執筆に至りました。
精神論では急場はしのげても、慢性的な不快感は取り除くことができません。
理論的に考えた感覚受容の性質を逆に利用することで、慢性的な悪影響の低減が図れる場合もあることから、本記事の内容が
多くの人の役に立てれば幸いです。
それではまた次回の記事でお会いしましょう!
(・ω・)ノシ