メディアのメンタリズム①:リードサムネの効果と業界の深ーい闇
前書き
なにげに本館でメンタリズムをまともに扱うのは初の試みかもしれませんね(笑)。
以前は「現世式中央心理推定論」などの16タイプ診断をベースにした独自読心術を解説していたこともありましたが、今回は、社会的に広く知られている心理学(メンタリズム)をメディアがどう使っているか解説していきます。
目次
リードサムネについて
リードサムネ(lead thumbnail)とは
リード(lead:導く・先導する)サムネは、特定の印象付けをするために、
- その後の展開が予想できる場面
- ショッキングな結末が想像できる場面
など、見た人の感情に訴えかけ、見たら最後気になって仕方がないという心理状況を作り出す効果を使った見出し画像のことです。
感覚的にいうと、記事の見出しの一文と合わせて見ると
「あ、察し...」
となるような画像ということです。
以下、追記でいくつかの例を乗っけておきたいと思うので、お待ちくださいな。
(10/11追記)
(10/15追記)
もう少し もうひと頑張り 諦めるな(人生訓) | みやひょんの青春真っ盛り - 楽天ブログ
10月23日追記
https://twitter.com/chisato_121220/status/1319466924032454657?s=09
https://twitter.com/chisato_121220/status/1319466924032454657?s=09
(口でだけならいくらでも言えるの森)
11月21日追記
(館長がFleetにあげた人の動画の広告www)
なぜ、リードサムネが必要なのか
理由1:PV獲得のため
リードサムネが使われる最たる理由は、やはりPVの獲得のためでしょう。
現代の情報社会・SNS社会では、とにかくたくさんの情報であふれていますが、すべて見て回る余裕はありません。
特にYouTube・ニコニコなどの動画サイトや特定のまとめサイト、商品比較系のアフィリエイトブログなどは、一度の視聴で使う時間が長いことから、客を一度でも競合に取られると、その分のPV(視聴回数)が格段に得にくくなります。
PVと収益が直結するような広告収入事業は、できる限りほかの記事ではなく自分の記事を優先的に見てもらう必要があります。
ちなみに、よくテレビで
- 元デマ記事業者の証言VTR
なんてのが出たりしますが、
- デマ張ってでも客引きゃ勝ち
という発言が目立ちますよね。
実は今に始まった精神性ではなく、昭和の週刊雑誌の時代からある悪しき風習がもとになっています。
ネットなどあるはずもない当時、個人が情報の真偽を精査するには、詳しい人に聞くか情報雑誌を買って自分でやってみるしかありませんでした。
ただ、人に聞きづらい話題の情報雑誌ともなると、自分で買って読んでみるしかありません。
その前提があるので雑誌業界はシメシメと、
- 「うちなら間違いないよ!」
と目が釘付けになるようなサムネイルを表紙にして、店頭に並べる戦略をとるのです。
察しのいい方はおわかりかと思いますが、グラビア雑誌なんていうのもその最たる例のひとつに当たります。
これが暗黙の了解として現代の広告収入業界・動画共有サイト業界に引き継がれてしまったため、おのずとサムネもミスリード気味になってしまうのです。
そういった背景もあり、現代の情報戦は
- 「気にならないのは、存在しないのと同じ」
というのがセオリーとなったことから
- 煽るようなウザいサムネ
- 特定のパーソナリティをヤバい呼ばわりするサムネ
こういったモラルハザード案件も乱立するのです。
理由2:詳細を載せられないから
理由1のような単にウザいだけのサムネなら、まだいいかもしれません。
しかし、この理由2は比較にならないほど醜悪だったりします。
例えば、海外の情報について、私たちはどのようにして仕入れるでしょうか?
英語が読めれば
- タイムズスクエア紙
- ウォールストリートジャーナル紙
などの海外の新聞を直接読めるので良いですが、翻訳版となると、意訳されたり、はしょられたりする場合があり、最悪は間違った情報が海外に出ることになります。
---(2020/11/8追記)---
AIの字幕間違いスギィっ!?別途ちゃんとした翻訳を出るんだよね?永遠に間違った字幕で完結したりしないよね?せっかくの大統領候補演説なんだからこれは…。
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で、この中で一番多いのは、情報が一部、端折(はしょ)られる場合です。
編集者が勝手に解釈した情報や、出元が怪しい情報を直接載せると、壮絶に批判の的になるのは、朝日新聞の例を見れば明らかですよね。
それを防ぎつつも、編集者として聴衆に訴えかけたいことがある。
そんな時に使われるのが、リードサムネです。
サムネイルによる印象操作は言論の正確さと無関係なベクトルにありますから、仮にミスリードを誘発させるサムネイルだと批判を受けても、それは聴衆が勝手に勘違いしたことだと逃げる口実につなげることができます。
つまり、陰湿な嘘を正当化する口実になるのが、リードサムネの怖いところなのです。
実際どんなものが当てはまるのか?
ケース1:外交評論のリードサムネ ~顔を伏せるAbe・勝ち誇るPutinの構図~
https://news.yahoo.co.jp/articles/2114f2f351f495e31169fb3346dcb908f0bacd7f/images/000
https://news.yahoo.co.jp/articles/2114f2f351f495e31169fb3346dcb908f0bacd7f/images/000
(11/5追記:あーっ、また消されちまったよぉ雨林w)
世に聞く領土問題でたびたび出てくるのが
- 外交の場で両首脳が対談しました。領土問題に触れましたが解決への見通しは立ちませんでした。
というもの。
どういった対談が行われたのか、一般公開される範囲が限定的なこともあり、視聴者はまともに情報を得ることができません。
そのうえ報道される内容は、大体同じような結末なので、どうせ大した話してないんでしょ?と気にも留められないことも多いようです。
そうなると報道の現場は見向きもされませんから、それを防ぐために、編集者は
- リードサムネを使い、事の重大さを暗に示す
というテクニックを使うことがあります。
まさか新聞記者がわざわざサムネに載せるために
「じゃあ、首脳同士の力関係を示す画像撮りたいので、プーチンさんは勝ち誇った顔してください」
なんて言えるわけないですよね?
(実は本当に言っているのだろうか...)
結果、例えば北方領土問題であれば、両首脳の対談の様子を録画しておき、両首脳の一瞬の動作をリードサムネに起用することで、視聴者に首脳間の力関係を彷彿させることが出来ます。
これはある意味、恣意的な扇動の姿勢が垣間見えるといえます。
ただ、理由1でも述べたように、編集者の言い分として、
- 視聴する側が勝手に勘違いしているだけ
- たまたま撮った写真の印象でしかない
そう言われればそれまでです。
私の先程の記述も憶測でしかないため、編者に
- 証拠は?
と聞かれればどうすることもできません。
推し量る以外に知るすべがない以上、画像から印象を受けないうちに、潔く本文を見て、真偽を判定するほうが良いかもしれません。
どのみち私たちは、多くの情報を仕入れる中で、玉石混合の中から真偽判定をしていくのですから、リードサムネに印象付けられたまま、内容を知らないほうがよっぽど危ないかもしれません。
終わりに
今回はシリーズもの風にやっていこうと思ったので、メディアが使うメンタリズムシリーズの1回目として、サムネイルの画像がどれだけ私たちに訴求するのかについて話しました。
いかがでしたか?私たちは知らぬ間に多くのサムネイルを見て、そこから受ける印象で行動を決めています。
そのからくりを知っておくことはこれからの情報社会で、
- 相手の意図を見抜くこと
に直結していきますから、印象操作に惑わされず、本当のことを知るよう努めていきたいところです。
それではまた次回の記事でお会いしましょう。ノシ