方言には空間的境界、流行語には時間的境界が存在する
方言に見られる地域性
同じ意味を表す言葉でも、地域ごとに違う言い回しをすることがあり、それらを総称して方言と言います。
現代文の授業で「ピジンとクレオール」を習った人もいるかと思いますが、方言もそれに当てはまるのです。
ちなみに、方言はひらがな1文字で意味を表すものもあり、
関西圏では自分のことを指すとき
- 「わ(私)」
と言います。
東北では、料理を振舞ってご馳走する時は
- 「け(食え)」
と言います。
ここら辺は流行り言葉で
了解を略して
- 「りょ」
警察(POLICE)の頭文字を取って
- 「P」
と表現するのとだいたい同じニュアンスですね。
そういった意味では、現代の若者が使う言葉が分かりにくいのと、方言の難しさには大した差がないと言えますね(笑)
流行語に見られる時代性
流行語は、一時期使われるようになって、そのうち死語になっていく言葉のことを指します。
今年の流行語に
- 「ぴえん」
というのがあり、ユーキャンの上半期流行語ランキングにノミネートしています。
ぴえんは、悲しい感情を伝える時に使う言葉として定着していますが、
うざいとか、きもいとか言う時のニュアンスと似ています。
気分が高揚してくることを、
- 「たかまるくん」
怒りや不快感を表すときは、ちょっと古いですが
- 「激おこプンプン丸」
なんていったりもしますが、感情を表す造語が流行語になることが多いようですね。
使う流行り言葉で歳がバレる?
ちょっと前の流行り言葉で、
- KY
- PK
- HK
- ry
というものがあります。
それぞれどんな意味か分かるでしょうか?
ちなみにこれが全部わかる人は恐らく勉強されたか、私と同年代かのどちらかです(笑)
正解は
- KY:空気読めない
(K:空気 Y:読めない)
- PK:パンツ食い込む
(P:パンツ K:食い込む)
- HK:話変わるけど
(H:話 K:変わるけど)
- ry:以下省略
(以下略▶略▶(ryaku)▶(ry )
でした。
このころは、ほとんどの人がガラケーでメールを打っていて、クラスでスマホを持っている人は3分の1もいませんでした。
もし3分の1もいれば、スマホ普及率はかなり高い方でした。
フリック入力や音声入力なんて便利な入力方式がなかったうえ、メールは秒で返さないとグループからハブられたりイジメられたりする時代でした。
如何にメールを秒で返すかを本気で考える必要が生じ、たどり着いた結論が
- 略字にして、入力字数そのものを減らす
というものでした。
このテクニックが流行ったことで、上記のような流行り言葉が次々に生まれたと言われています。
時代を超えても通用する流行語の根本概念
メールやLINEを早く返すという原理原則自体は、時代を超えても共通しており、略字化テクニックという形で現代の「りょ」とか「かしこま」とか言う時にも反映されています。
HK流行語といえばJK、JDがインスタとかTikTokで使ううちにバズるのが一般的です。
(話変わりますが流行語といえば、女子高生、女子大生がインスタグラムやTikTokで使ううちに勝手に世間でも流行っていくというのが一般的です。入力手間がこれだけ違うのがお分かりでしょうか?(笑))
でも、そもそもなんで流行り言葉が生まれるのかと言えば、
- 感情の共有をどうやって円滑にするか
- 自分の存在価値をどうアピールするか
このふたつが主なキーワードになっていることは押さえておくべきでしょう。
- 「悲しい」or「ぴえん」
- 「不快」or「うざい」
- 「嬉しい」or「たかまるくん」
このどちらを使う方が、感情や言葉の存在を表すことが出来るでしょうか。
ありふれた表現は、日常生活に埋もれてしまい、なかなか相手に伝わりません。
流行語のように、インパクトのある言い回しを使う方が、同じ意味でも相手に伝わる確率が上がると言えます。
もちろん使う相手によりけりですが、意味が分かる人同士の隠語で使う分には、標準語より流行語の方がスムーズに感情や言葉の重みを相手に伝えることができます。
こういった理由から、流行り言葉は日々量産され、人々の間で力強く根付いていくのでしょう。
終わりに
これからも現世の館は密に記事を書いていく予定ですが、この「密に」も新型コロナウイルス関連の影響でかなり強調されて聞こえるようになっています。
例えば、「密な情報」と一言で表したとしても、現代なら3密に現れる
- 密閉空間
- 集団
- 長時間
という印象が最前列に来るはずです。
「密なお買い得情報がこの1冊に」
なんて書いたなら、見る人の脳内では
- お買い得な情報が沢山載っている
とも
- 売り場に人がごった返している
とも解釈できてしまいます。
時代的に3密を意識せざるを得ない風潮のため、どうしても、密という単語の意味が補完されてしまうのです。
新型コロナウイルス関連で流行に乗った広告が、3密を連想させ不謹慎であるとレッテルを貼られるのはこのためです。
広告代理店の皆様、しっかりと勉強しましょう(笑)
逆に、流行語の特性や、流行りバズりの裏側にある感情を読むことが出来れば、簡単に人の心に刺さる言い回しができるので、押さえておいて損は無いでしょう。